2020/10/26 11:00

何もかもが、モノクロの世界だった。
どこを捜しても色のない世界にいた。
時折目に飛び込んでくるのは
強烈な赤 血の色だった。
もがき、傷つき、どう前に進めばいいのか
わからない中学、高校時代。
岡山県にある神社の神主の娘として産まれ
両親の離婚で、母と弟3人で大阪へ上京。
貧しいながら懸命に生きていた。
何年か時が流れ、ある日母から、
彼氏を紹介された。
母の嬉しそうな顔を見たら
拒むこともできず
反対することもできなかった。
それから、少しずつ広がっいくモノクロの世界
少しずつ色が消えていく。
ご飯のおかずの色
靴の色、自分の着てる服の色
朝目覚めたら、テーブルの上にある透明のコップ
半分残った液体
顔近づけると鼻を差すアルコール臭
部屋は散らかり
母の手から流れる
鮮明な赤い血
母の彼氏による暴力
母はアルコール依存
日に日に色は消えいった。
私が、どうやって環境を変えればいいのか?
誰に助けを求めればいいのか?
抵抗することもできず過ごした中学、高校。
もうなにもかも、すべて終わっちゃえばいい
神様なんていないんだ。
って気持ちに飲み込まれていった。
市営住宅の非常階段 11階
そこから見える景色は
深い深い群青色の空が広がっていた
1つの星も見えない空
手すりに手をかけ身を乗りだした時
目の前に雲が流れてた
その中に弟の笑顔が見えた気がした。
「私がいなくなったらアイツどうなる?」
ハッと我に返り
部屋に戻り弟の寝顔を確認した。
寝ている弟の頭を泣きながら、撫でた。
それでも、いつもどこかに傷があり
毎日毎日続くケンカ、のの知り合い
母のお酒の量も増えていってた。
高校卒業、もう家出たかった。
「1人で逃げていいのか?」って
その時はそれが最善だとは思えなかった。
つづく